計算コラム

(93) 消費税10%

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2018/10/22
 政府は2019年10月に消費税率を予定通り10%にする方針を正式に表明した。
 今回、増税の根拠に財政危機にあるという記述がない(財務省のHP)。今まで1000兆円の借金を強調して財政危機を訴えてきたのに何故だろうか?
 IMFが最近発表した財政状況の国際比較レポートが関係しているかもしれない。 このレポートでは借金だけではなく中央銀行や政府関連機関などの様々な資産も考慮している。 日本は借金はあるが資産も多く、決して財政危機ではないという内容だ。 財務省は今までの借金だけを強調するロジックが使えなくなったと判断したのではないだろうか?
 次に消費増税の影響を考えてみる。 消費税は1989年に税率3%で初めて導入された。年号は平成に変わり、バブル景気に沸き、株価は史上最高値を記録した。 この時の消費税の導入は成功だったと言われている。
 一方、2014年の5%から8%の増税で経済は一気に失速し、消費が実に3年間も落ち込む苦い思いを経験した。
 来年、景気が十分に回復していない状況下で増税した場合は、小さな減税措置を並べたくらいでは、景気がさらに冷え込み、デフレ脱却が遅れる懸念がある。

関連リンク
[1]財務省消費税FAQ
[2]IMF Fiscal Monitor, October 2018
[3]消費税