計算コラム

(77) 一般相対性理論の検証

  • Back
2015/ 1/22
2015年は一般相対性理論の完成から100年。この理論から膨張宇宙やブラックホールの発見へと繋がり、近年ではGPSカーナビに応用されるなど今だに宇宙研究の中核として色褪せない。しかし当時は「重力で光が曲がる」この理論は疑問視され、アインシュタインはその検証を問われた。星の位置が太陽重力で0.83秒湾曲することの検証として、1914年8月21日のクリミア半島での皆既日食観測をドイツ天文学者フロイントリッヒに依頼した。不運にも第一次世界大戦が勃発し、彼はクリミアで捕虜となり日食観測の夢は途絶えた。ところが翌年の理論完成後に湾曲を再計算すると1.75秒と2倍の値になった。そして4年後の1919年5月29日の皆既日食で再び検証がなされ、英天文学者エディントンはアフリカ西海岸のプリンシペ島にて1.61秒(標準偏差0.3秒)を観測した。ついに理論の正しさが検証されアインシュタインは時の人となった。もしクリミアでの観測が実施されていれば、検証が不成功に終わりアインシュタインはどうなったであろう。何か神がかりの運命を感じる。