計算コラム

(69) 地球内部の熱源

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2014/ 1/20
地殻変動や火山爆発を繰り返す地球は、内部に流動的な熱源を満たしている。一方、地球より小型の火星や月は既に冷えきって熱源は無いらしい。この内部熱源は太陽系誕生時の衝突が起因と考えられ、19世紀のケルビンが見積もった地球冷却年は約1億年だった。ではなぜ46億年が経過した地球がまだ冷え切らないのか。20世紀になり、地球内部の半減期の長い放射性元素が起因していると判った。弱い相互作用により放射性元素内の中性子が陽子に変わる。その時に電子とニュートリノを放出し、質量差の崩壊熱が発生する(ベータ崩壊)。U235、U238、Th232、K40などは半減期が10~100億年オーダーと地球年齢ほど長い。ところで、原子力発電の残骸となる人工元素プルトニウム239の崩壊熱は収まるまでに10万年を必要とする。地殻に埋め地球に還す核廃棄物が崩壊熱、地球内部から湧き出る熱源もまた崩壊熱。なんと皮肉なことか。
関連リンク
[1]放射性元素の半減期