計算コラム

(61) リレー計算機

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2013/6/12
リレー計算機を解析する機会を得た。プログラム開発に慣れた私には、リレー計算機の仕組みには驚きがあった。ソフトウェアとしてのプログラムが無い。ハードウェアの論理ゲートも見当たらない。あるのは電動のリレースイッチと手動のキースイッチに多少の抵抗とコンデンサだけだ。このリレー計算機は1957年に製品14-Aとして発売され、カシオ計算機の設立となった。当時はまだトランジスターは発明されたばかりで、計算機に使える電子素子は限られていた。電話交換機に使われていたリレーに着目し、その連動スイッチの組み合わせで加減乗除を実現している。各素子を繋ぐ配線数は膨大で、論理の追跡は絡んだ糸をほぐす如く大変だ。当時の限られた技術環境下での商品化のため、使い方やコスト面で様々な創意工夫が織り込まれている。その後の計算機の発展がこの技術を基に築かれたかと思うと感慨深い。
関連リンク
[1]樫尾俊雄発明記念館