計算コラム

(103) インフレ目標

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2021/10/11
 日銀がインフレ目標を年率2%に設定しているのはなぜだろうか?

 日銀がこの目標を設定してから8年以上経過したのに、なかなか物価が上がらない状況が続いている。
 一般的に金融緩和(政策金利の引き下げや資金供給量を増やすこと)を行うこと、インフレ率は上がり、失業率は下がる。しかし失業率については、もうこれ以上は下がらないという下限が存在する。 いくら金融緩和しても、労働需給のミスマッチが発生するため、失業率はゼロにはならない。

 失業率が下がるうちは金融緩和しても問題ないが、それ以上金融緩和するとインフレだけが加速することになる。 インフレを加速しない失業率は、NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment)と呼ばれている。

 日本の失業率の下限は大体2.5%で、この2.5%に対応するインフレ率が2%である。これがインフレ目標になっている。

 インフレ目標を達成するよりも、NAIRUと呼ばれている失業率を達成する事が重要なポイントで、そういう意味では金融政策は雇用政策の意味合いが強い。
関連リンク
[1]経済の計算